- Q慢性腎不全といわれたら
- まだ透析に入る前のお問い合わせで慢性腎不全と診断され多くの患者さんが一瞬パニックになって来られます。慢性腎不全といってもその原因も病態も様々です。
またいわゆる透析導入前を保存期といいますがこの期間は患者さんによって半年のこともあれば10年のこともあり様々です。この保存期の過ごし方で予後が大きく変わります。ぜひご相談下さい。
- Qいつ透析になるのかまたシャントはいつ造るのか?
- 大体は大まかですがクレアチニンが5を超えたあたり、まだ十分に利尿がある段階でそろそろシャントを造るお話をします。
導入ですが一番悪いのが尿毒症症状、すなわちおしっこが出なくて苦しくなり急性腎不全状態で救急車で運ばれていきなり透析になってしまうパターンです。
大体このような方は管理が甘く、その後維持透析にいたるまで様々なトラブルを起こします。
私はそうならないように保存期の早い段階から家族の方も含めて導入後の生活全般および心の持ち方などをお話します。
- Q透析とはそもそも何をするのか?
- 透析とは血液の浄化と除水のこの2点に尽きます。で、一回4時間週3回の血液の出し入れですむのかということですが、ことはそんなに簡単なものではありません。
人間の体にはそれぞれ個体差というものがありただ漠然と針の抜き差しだけとは違うのです。
今の医学界はエビデンス(証拠)エビデンスとうるさくまたゴールデンスタンダード(すべてに当てはまる基準)をうるさく言いますが、そんなことは度台が無理なことは現場のわれわれ医師は痛いほどわかっています。
つまり、大まかな基準があってその上に患者さん個々の病態に合わせた対応が必要ではないでしょうか?
いわゆるオーダーメイドの医療です。
これは患者さんと日々相談しながらお互い納得した上で共にがんばることを意味するのです。
予後がいい患者は皆さん自分の病態をよく理解し治療に理科を示し前向きな方です。
これは一般患者にもいえますが健康であるということは健康に(自分の病気に)関心を持つことだと思うのです。
- Q医療費はどれくらいかかるの?
- 透透析導入となれば全額国費供与となり、自己負担は0です。
ただし保存期の間は一般の医療と同じく健康保険の範囲内で負担していただきます。健康保険の範囲内とは言っても3割負担で長くなるとかなり経済的に逼迫します。
同じ腎不全で透析に入るか否かでこれだけの差があるのはある意味不合理だと思うのですが、国策ですからし方ありません。
今後、何とか政府には考えてもらわなければいけません。
- Q透析になったあとの生活はどう変わりますか?
- 透析は、一週間をひとつのサイクルとして考えます。
そのサイクルを自分の生活にうまく組み込むように今までの生活を調節する必要があります。透析治療が順調に行われて、体調に問題がなければ、透析をしない日は健常者とほぼ変わらない生活が可能です。
ただし、身体のなかに老廃物や水分などがたまりすぎないよう、食事などの自己管理が必要になります。
- Q腎不全とは?
- 腎臓は、そらまめの形をした、握りこぶし大、重さ150グラムほどの小さな臓器です。ちょうどおへその高さで、おなかの奥の背中側にはりついており、背骨をはさんで左右に1つずつ存在します。
- 腎臓の主な働き
- 体内でできた老廃物を体外に排泄する。
- 体内の水分と塩分(電解質)を一定に保ち、血液を弱アルカリ性に保つ。
- 赤血球をつくるホルモンを分泌するほかに、血圧やカルシウムの調節ホルモンを制御したり、不要になったインスリンを分解する。
そこで、腎臓の働きを補うために、透析療法が必要になるのです。
適切な時期に透析を始めることで、体の負担も軽くなり、食事もしっかりとれて体調も良くなってきます。
また透析開始後は、それまでの厳しい食事療法や水分制限が緩やかになります。
- Q透析患者さんで快適に長く元気でいられるコツ
- 不安なことは何でもご相談ください!
- 体重管理
- 尿量が少ないあるいは全くない透析患者さんでは、摂取する水分量に十分注意する必要があります。水分を取りすぎると心臓への負担が増えます。透析終了時の目標体重を「ドライウエイト」と呼びますが、ドライウエイトは体内に過剰水分がないときの体重で、血圧や胸のレントゲンを参考にしながら医師が決めます。患者さんの栄養状態や血圧などに応じて、定期的に見直します。
- シャント管理
- 透析を続けていくうえで大切なシャントを長持ちさせるために、つまったり、感染したりすることがないよう注意しましょう。
- 適度な運動
- 透析に体が慣れてきたら、できるだけ体を動かすよう心がけましょう。
適度な運動は、体力・筋力を維持し、いきいきと生活するためにとても大切です。
血圧の安定、便通の改善、ストレス解消、骨折や生活習慣病の予防にも効果があります。散歩やラジオ体操など、手軽な運動を毎日の生活に取り入れたいものですが、運動を始める前には、必ず医師に相談しましょう。
翌日に疲れを残さないよう、十分な睡眠をとることも大切です。
- Q腎移植について
- まだ医学生時代に大学病院で始めて腎移植を見たときの感動、初尿が出たときのスタッフ達が手を取り合って感激したあの時の光景は25年が経った今もけして色あせるものではありません。
あのころ腎移植は腎不全患者にばら色の未来を約束しました・・・。
しかしあれから四半世紀経った今、腎不全患者の現状はどうか?
様々な制約の中、移植医療は進まず移植を望む多くの患者はしかも裕福な患者のみがドナーを海外に求めます。
特にフィリッピンのそれは世界最高水準です。おかげでアメリカを始めヨーロッパでも外国人特にそのほとんどを占める日本人に対してドナーの供給を渋る傾向にあります。
世界最高の日本の移植技術を様々な制約の中あたら埋もれさせることは本当に残念で忍びないことです。
このように腎移植が進まない結果日本の透析技術は世界最高水準にあります。